投稿日:2025年12月6日 / 最終更新日:2025年12月7日
「レッスン後はいつも腰が痛い…」大人バレエに多い反り腰タイプの腰痛の原因とケア
はじめに:腰痛でお悩みの大人バレエさんへ
バレエ整体.com東京・千葉、伊集院鍼灸整骨院の伊集院です。
「レッスンは楽しいのに、終わる頃にはいつも腰が痛い…」
そんなお悩みを抱えた大人バレエさんが、当院にも多く来院されています。
特に、40代以降からバレエを始めた方や、
子どもの頃にバレエをしていて大人になって再開した方は、
- もともと腰痛持ちである
- お腹まわりの筋力低下
- デスクワークなどの生活習慣による姿勢の乱れ
といった要素が重なり合い、その結果、
「バーレッスンは大丈夫だけど、センターになると腰が痛い」
「アラベスクやカンブレのたびに腰に不安がある」
といったご相談につながるケースが少なくありません。
今回のブログでは、大人バレエさんに多い腰痛の原因(特に“反り腰”との関係)と、
やってはいけない習慣・自分でできるケア、
そして当院で実際に行っているアプローチについてお話しします。
こんな腰痛ありませんか?大人バレエあるあるチェック
まずは、大人バレエさんに多い「腰痛あるある」をチェックしてみましょう。
- レッスンが終わる頃には、腰がズシッと重だるくなる
- バーレッスン中は平気なのに、センターになると腰がジワジワ痛み出す
- アラベスクやアティチュードで脚を上げると、腰が詰まるような感覚がある
- 後ろカンブレのあとに、腰がズーンと引きずるような痛みが残る
- 「もっと引き上げて」と言われると、腰だけで反っている自覚がある
- 普段の姿勢から反り腰になってしまう
- 数か月に一回、ギックリ腰を繰り返している
- レントゲンを撮って、すべり症、脊柱管狭窄症と診断された
- レッスンの翌朝、起き上がるときに腰が固まって痛い
いかがでしょうか?
ひとつでも当てはまるものがある方は、
間違ったバレエの動きが、反り腰や姿勢のクセを作り出し、結果的に腰痛に関わっている可能性が高いと言えます。
間違った動きをしている方の中には、
「自分でも間違っている自覚がある」
「なんとなく違う気はするけれど、どう直せばいいか分からない」
「自分では正しくやっているつもりなのに、実は間違った使い方をしている」
など、さまざまなパターンがあります。
大人バレエさんの腰痛の「本当の原因」はほとんどが反り腰
ここまで読んで、
「結局、原因は全部“反り腰”なんじゃないの?」
と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
実はその通りで、大人バレエさんの腰痛の多くは、シンプルに言えば 反り腰が土台 になっています。
ただし、同じ反り腰でも、
- 前重心で立ち続けて、腰と前ももで踏ん張って立っている
- 無理なアンディオール(ターンアウト)
- 間違った「引き上げ方」
といった “現れ方のパターン” が人によって違う のがポイントです。
ここでは、当院でよく見られる3つのパターンに分けて解説します。
パターン① 前重心で立ち続けて、腰と前ももで踏ん張っているタイプ
そもそも 反り腰の状態が“普通の立ち方”になってしまっている タイプです。
このタイプの方は、重心が前にかかりやすく、
- 腰の筋肉
- 前ももの筋肉
にギュッと力を入れて立っていることが多いです。
本来であれば、
- お腹まわり(体幹)の筋肉
- お尻やもも裏の筋肉
など、身体全体でバランスよく姿勢を支えたいところですが、前重心になっているためこれらの筋肉がうまく使えず、
腰と前ももだけで身体を支えている状態になってしまいます。
その結果、
- 立っているだけで腰が疲れやすい
- レッスンが終わる頃には、腰だけズシッと重くなる
- 腰と同時に、前ももがパンパンに張ってくる
といった症状が出やすくなります。
ご本人としては、
「ちゃんと引き上げて、姿勢よく立っているつもり」
でいらっしゃるのですが、実際には 腰と前ももに頼って頑張る立ち方 になっているのが、このパターンの大きな特徴です。
パターン② 無理なアンディオール
2つ目は、無理なアンディオール(ターンアウト)によって反り腰が強くなってしまっているタイプです。
バレエをしていると、
- 「もっと足を開いて」
- 「まだまだターンアウトできるはず」
とバレエの先生から指摘されることが多く、どうしても “足先の向き” を優先してしまいがちです。
その結果、
- 股関節からではなく、膝や足首だけをひねって開いてしまう
- 「あと少し!」と頑張りすぎて、骨盤が前に倒れすぎる
- 骨盤が前に倒れることで、腰の反りがさらに強くなる
という流れで、反り腰を助長してしまいます。
このタイプの方には、次のような特徴がよく見られます。
- 1番ポジションや5番ポジションで、足先は開いているのに、膝とつま先の向きが揃っていない
- プリエをすると、膝が内側に入りやすい
- ルルベで立つとき、足裏の外側ばかりに体重がかかる(カマ足になりやすい)
- ジャンプの着地で、腰や膝に負担を感じやすい
本来、ターンアウトは股関節から無理なく外旋させることが重要です。
しかし、足先で無理に開こうとすると、その代償として骨盤の過前傾と腰椎伸展が強まり、結果的に反り腰を助長することになります。
その結果、腰に大きな負担がかかるようになります。
無理なアンディオールは、腰だけでなく、膝・足首・股関節のトラブルとも深く関係してきますので、
「どれだけ開くか」だけでなく、「どうやって開いていくか」
つまり ターンアウトの質を見直すこと が、腰痛ケアの大切なポイントになります。
パターン③ 間違った「引き上げ方」
3つ目は、「引き上げ」のつもりが、かえって反り腰を強めてしまっているタイプです。
バレエでは、
「もっと引き上げて」
「上に伸びて」
「お腹を引き上げて」
と注意されることが多いですが、
その言葉を 「胸や肋骨を前に突き出すこと」 と勘違いしてしまっている方が非常に多くいらっしゃいます。
その結果、
- 胸や肋骨をグッと前に押し出してしまう
- 横から見ると、肋骨が開いてみぞおちが前に出ている
- それにつられて、腰の反りがどんどん強くなる
という流れで、反り腰を悪化させてしまいます。
このタイプの方には、レッスン時に次のような特徴が見られます。
- 後ろカンブレで、「背中」というより腰が折れるような感覚がある
- アラベスクで、背中(胸椎の伸展)ではなく腰の反りに頼っている
- 「もっと伸びて」と言われると、さらに腰を反ってしまう
本来の「引き上げ」は、
- お腹〜みぞおちを、内側からスッと持ち上げる感覚
- 背中からスーッと上に伸びていき、その結果として自然とお腹が入ってくる感覚
- 骨盤の上に肋骨(胸郭)、その上に頭がまっすぐ積み上がるイメージ
が大切です。
ところが、
「胸を張ることがキレイな姿勢」
「胸を張りながらカラダを引き上げる」
と勘違いしてしまうと、
- 肋骨が開いて前方にシフト(前に滑る)
- それに引っ張られて、腰椎の反りがさらに強くなる
結果として、腰に負担が集中し、腰痛の大きな原因となります。
つまり、
「引き上げているつもり」の動きそのものが、実は反り腰と腰痛を悪化させてしまっている、ということです。
身体の引き上げ方を見直すことは、腰痛ケアにおいて非常に重要になります。
反り腰タイプの腰痛を改善するための対策
ここまで見てきたように、大人バレエさんの腰痛は、
間違った立ち方・アンディオール・引き上げ方といった「使い方のクセ」が重なって反り腰が起きていることがほとんどです。
ここからは、反り腰タイプの腰痛を改善していくうえで、
実際にどんな方向性でカラダを整えていけばいいのか を整理していきます。
① 胸椎(背中)の伸展可動域を高める
アラベスクや後ろカンブレで腰が痛くなる方の多くは、
「腰椎(腰)が動きすぎている」一方で「胸椎(背中)がほとんど動いていない」 状態になっています。
本来、反る動きでメインになってほしいのは「腰」ではなく、
- 胸椎がしっかり伸展してくれること
- 背中全体でアーチをつくること
この2つが理想的です。
胸椎の伸展可動域を広げて、「背中から反る感覚」を身につけるためのアプローチが必要になります。
② 股関節の「伸展」可動域を高める
アラベスクやアティチュードで脚を後ろに上げるとき、
本来は股関節の伸展可動域(脚を後ろに引く動き) を大きく使いたいところです。
ところが、股関節の伸展可動域が小さいと、股関節ではなく、
腰を反らせる代償動作によって、「脚が高く上がっているように見せている」
方が非常に多く見られます。
そのため、対策としては、
- 腸腰筋や大腿四頭筋など、前もも側の筋肉の柔軟性を高める
- 腰を反るのではなく、股関節から脚を後ろに動かすエクササイズ を行う
といったアプローチが有効です。
これにより、
「脚は股関節から、背骨は胸椎から」
という役割分担をつくっていくことが大切になります。
③ 股関節からアンディオールできるように強化する
無理なアンディオール(足先だけのターンアウト)は、
骨盤の過前傾と反り腰を強め、腰痛・膝痛・足首のトラブル につながります。
大切なのは、膝や足首をねじって開くのではなく、股関節の外旋筋(ターンアウト筋)でアンディオールすることです。
そのために、
- 股関節外旋筋を目覚めさせるトレーニング
- 1番・5番で「股関節から開く」感覚を養う練習
- ターンアウトボードを使い、床の摩擦に頼らずにアンディオールする練習
などを通して、
「どれくらい開けるか」ではなく、
「どこから開くか」 を変えていくことが、反り腰の改善にもつながります。
④ 正しい「引き上げ」ができるようにする
間違った引き上げ方(胸や肋骨を前に突き出す)は、
反り腰を悪化させ、腰痛の大きな原因になります。
目指したいのは、
- お腹〜みぞおちを、内側からスッと持ち上げる感覚
- 背中からスーッと上に伸びていき、その結果として自然とお腹が入る感覚
- 骨盤の上に背骨、その上に頭がまっすぐ積み上がっているイメージ
といった 「前に張る」のではなく「内側から伸びる」タイプの引き上げ です。
そのためには、
- キャットストレッチのような肋骨を閉じるエクササイズを行う
- ピラティスのリフォーマーを使って、内側から引き上げる感覚を身につける
- スタンディングロールアップのような、骨盤の上に背骨が積みあがっていくようなエクササイズを行う
といったアプローチが有効です。
これらを通して、胸を張って無理に上に伸びるのではなく、
体幹全体で内側からスッと引き上げる感覚 を身につけていきましょう。
⑤ ペルビックティルト(骨盤後傾)のエクササイズでコントロールを身につける
反り腰タイプの方は、骨盤が常に前傾しすぎていることが多く、
「骨盤を中間に戻す」「少し後傾させる」動きが苦手です。
そのため、
- 仰向けや四つ這いなどでペルビックティルト(骨盤を前傾~後傾を繰り返す)の練習を行うことが効果的です。
骨盤を過剰な前傾位から一度リセットし、ニュートラル〜やや後傾も取れる状態 にしておくことで、立位やレッスン中の反り腰を自分でコントロールしやすくなります。
⑥ 重心位置を「くるぶしの上」に整える
反り腰の方は、重心位置が前にあることが多く、
- つま先側に体重がかかっている
- 前ももと腰で踏ん張って立っている
という状態がよく見られます。
立っているときの目安としては、
耳・肩・骨盤の中心・くるぶしが、横から見て一直線に近づくようなイメージを持つと良いです。
そのうえで、
- 重心が「くるぶしの上あたり」にくる
- 足裏全体に、均等に体重が乗る
という状態を目指します。
重心を前から「くるぶしの上」に戻していくことで、
腰と前モモで頑張っていた立ち方から、
腹筋やお尻、ハムストリングなども使い、身体全体で支える立ち方へと変えていくことができます。
⑦ YouTubeやInstagramの情報にとらわれず、専門家に相談する
今は YouTube や Instagram などで、
たくさんのストレッチやエクササイズ情報を、簡単に手に入れられる時代です。
もちろん、良い情報もたくさんありますが、
- 体型・柔軟性・反り腰の程度
- どんな動きで反り腰になりやすいか
- 側弯症の有無
- 既往歴(すべり症・脊柱管狭窄症など)
といった 身体の条件は人それぞれ全く違います。
そのため、
「誰かに合っている方法」が、
そのまま「自分にも合う」とは限らない
という点には注意が必要です。
ですから、自己判断で何かを始めるのではなく、
バレエやダンサーの身体を専門的に見ているところで、一度きちんと評価を受けてみることをおすすめします。
自分の
- 立ち方のクセ
- 動き方のクセ
- 反り腰の程度やパターン
を理解したうえで、一人ひとりに合ったエクササイズやケアを選んでいくことが、
結果的にはいちばんの近道になります。
バレエ専門整体だからできる腰痛・反り腰へのアプローチ
ここまでお読みいただいて分かるように、
- 立ち方(前重心になりすぎていないか)
- アンディオールのしかた(足部で開きすぎていないか)
- 引き上げ方(胸を張りすぎて肋骨が開いていないか)
など、大人バレエさんの腰痛には、バレエ動作の間違いによってつくられた「反り腰」が深く関係しています。
当院では、一般的な「腰痛治療」ではなく、
バレエ専門整体として、次のような流れで腰痛・反り腰にアプローチしていきます。
① まずは「立ち方・動き方」を一緒にチェック
- 普段の立ち方(前重心・反り腰の程度)
- 1番・5番でのアンディオールのしかた
- プリエ・アラベスク・カンブレなど、実際のバレエ動作
を一緒に確認していきます。
そのうえで、
「どの動きが、どのように腰に負担をかけているのか」
を分かりやすく“見える化”してお伝えします。
② 施術で「動きやすい状態」をつくる
身体の評価をしたうえで、
- 胸椎(背中)が動きやすくなるように整える
- 股関節伸展や外旋が出やすくなるように調整する
- 過剰に緊張している前モモや腰の筋肉を緩める
など、腰だけでなく 全体の連動が出やすくなるように 施術していきます。
③ エクササイズで「正しい使い方」を身につける
施術で整えたあとは、
- 胸椎伸展のエクササイズ
- 股関節伸展のエクササイズ
- 股関節からアンディオールするためのトレーニング
- ペルビックティルト(骨盤の前傾・後傾)のコントロール練習
- 正しい引き上げのトレーニング
- 重心位置(くるぶしの上)の感覚づくり
など、一人ひとりのレベルや症状に合わせて、個別にエクササイズへ落とし込んでいきます。
まとめ:腰痛で悩まれている大人バレエさんへお伝えしたいこと
- 「レッスンは大好きなのに、終わるころにはいつも腰が痛い…」
- 「先生の言っていることは分かるけれど、身体がついてこない…」
- 「整形外科や整骨院にずいぶん通ったけれど、全然よくならない…」
- 「バレエをやめたいわけじゃないけれど、今のまま続ける自信もない…」
- 「無理しているうちに、もっと悪くなってしまうんじゃないか…」
こんな悩みや不安を抱えている大人バレエさんはとても多いです。
ですが、
原因を正しく理解して、適切な対策を行っていけば、
大人からバレエを始めた方でも、まだまだ長くレッスンを楽しむことは十分可能です。
バレエ整体.com東京・千葉(伊集院鍼灸整骨院)では、
バレエを愛する皆様が、一生踊り続けることができる身体を手に入れられるよう、日々研鑽を重ねております。
ひとりで我慢し続ける前に、
「もしかして自分もそうかも…」と感じた方は、どうぞ一度ご相談ください。
著者プロフィール 伊集院 博
兵庫県神戸市生まれ。千葉県千葉市在住。2007年に千葉市中央区にて伊集院鍼灸整骨院を開業。現在は千葉県で2店舗の鍼灸整骨院の代表を務める。
『バレエ障害をゼロに!』をミッションに掲げ、ケガから最速でバレエ復帰できるように日々臨床に励んでいる。
バレエ動作修正やトレーニング指導にも定評があり、院内にマシンピラティススタジオを併設し、プロバレエダンサー、ジュニア、大人バレリーナを年間1,000人以上サポートしている。
著書『ゴールデンライン 美しい姿勢をつくる44のレッスン』
主な資格と実績
- 伊集院鍼灸整骨院グループ代表
- 柔道整復師(国家資格)
- 鍼灸師(国家資格)
- ケアマネージャー
- シュロスベストプラクティスⓇ
(側弯症運動療法の資格) - 側弯症ピラティスインストラクター
- BESJ認定ピラティストレーナー
- BTA認定バレエダンサートレーナー
- ハワイ大学解剖実習終了
- 治療家大學技術講師就任














