バレエの下肢障害 シンスプリント

シンスプリントとは

このような症状がある場合は、シンスプリントの可能性があります。

• ジャンプをしたときスネの内側が痛む
• つま先立ちをしたときスネの内側が痛む
• 走るとスネの内側が痛む
• 運動をしているときにスネの内側が痛むが、休むと痛くなくなる
• スネの内側に熱感がありズキズキと痛む

走ることやジャンプの多い部活動やスポーツを始めたばかりの学生に多く発症しますが、運動を再開したばかりの大人でも発症することはあります。
つまりシンスプリントは、運動量が急激に増えることによりを発症しやすくなるということになります。

シンスプリントの初期症状は、休んでいると痛みはなく、運動やバレエのレッスン時に痛みが憎悪します。

男女比は、男性に比べ女性の方が3倍以上多く発症し、そして体重の重い人の方が平均体重の人の2倍以上多く発症します。

シンスプリントは再発することが多く、シンスプリントの既往歴がある人は、一度も発症したことのない人に比べ5倍以上の確率で発症します。

シンスプリントの発症メカニズム

シンスプリントは、下腿部の内側（スネの骨、脛骨）の中央から下方1／3の部分に痛みが生じます。
筋肉と骨膜の炎症症状で、下腿部の筋肉の緊張、主に後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋、前脛骨筋、ヒラメ筋のオーバーユース（使い過ぎ）で発症します。

ポワント、ルルべ、プリエ、ジャンプなど、下腿部の筋肉を酷使するバレエでは引き起こしやすい下肢障害の一つとなります。
特にカマ足傾向にある人は、ポワント、ルルベのときに後脛骨筋への負荷が増してシンスプリントを発症しやすくなります。

シンスプリントと脛骨疲労骨折との鑑別診断

シンスプリントは脛骨過労性骨膜炎と言い、筋肉が骨に付着する部分の炎症であることに対し、脛骨疲労骨折はいわゆる骨折で、それぞれ異なる疾患となります。
脛骨疲労骨折はシンスプリントと類似する点が多く見落とされがちですが、骨折ですのでシーネやギプスによる固定が必要となります。

シンスプリントは、「この辺」とスネの内側に幅広く痛みを感じることが多いです。このことをパームサインと言います。

一方で脛骨疲労骨折は、「この部分」とピンポイントに痛みを感じることが多いです。このことをフィンガーサインと言います。

またシンスプリントは両足に発症することが多くありますが、脛骨疲労骨折は片足のみに発症することがほとんどです。

多くの骨折はレントゲンに写りますが、疲労骨折はレントゲンに写らない場合があります。
レントゲンで異常がなくても疲労骨折している場合がありますので注意が必要です。

バレエでのシンスプリントの原因

1. 過回内足（オーバープロネーション）で内側の土踏まずが潰れている。いわゆる偏平足の足をしている。
2. 足関節底屈可動域が少ない。足首が硬くてつま先が伸びない、甲が出ないようなタイプの足をしている。
3. 股関節外旋可動域が少ない。アンディオールの可動域が狭い。膝が外に向きづらいタイプの股関節をしている。
4. オーバーターンアウトしている。膝の向きとつま先の向きが合っていない。膝の向きよりもつま先の方がターンアウトの角度が大きくなっている。
5. 体幹の安定性（コアスタビリティ）の低下。体幹が弱いのでお腹の引き上げが苦手なタイプ。
6. 骨盤の歪み。バレエでは骨盤が前傾し腰が反る、そしてお尻が後ろを向いてしまっているタイプが多い。
7. 間違った動作。カマ足、逆カマ足に多く、ふくらはぎの筋肉を正しく使えていない。
8. 足裏の筋力が弱いので、ふくらはぎの筋肉に負担が増える。
9. コンクールに向けて、発表会に向けてなど、急にレッスン量が増えた。
10. 最近体重が増えてしまった。

エコー検査により患部を正確に把握

当院では、施術者の手を使って行う徒手検査と、超音波画像診断装置であるエコー検査を行っております。

プロスポーツの現場では常識となっているエコー検査ですが、一般的な多くの整骨院、整体院では行われていないことが現状です。
徒手検査で見落としがちな患部の状態も、エコー検査を行うことで、骨や筋肉、靭帯の損傷を詳しく画像として視覚的に把握することができます。

シンスプリントを早く治すためには、エコー検査を用いた早期発見と、正確な損傷部位の把握は必須だと考えます。

最新の医療機器で早期回復

シンスプリントの治療は、痛みを早く取り除くための患部の治療と、それらを再発させないための身体づくりの両方が必要だと考えます。

患部は衝撃波（圧力波）、ラジオ波、鍼による治療がとても効果的です。詳しくは治療のページをご覧ください。

そしてシンスプリントを再発させないための身体づくりに対しては、バレエ整体やバレエピラティスを行っていきます。
クライアント様とカウンセリングを行いながら、以下の施術方法を組み合わせ、最善の方法を選択し、早期回復を目指します。