投稿:2022.05.18 / 15:28
バレエの下肢障害 ランナー膝(腸脛靭帯炎)
ランナー膝(腸脛靭帯炎)とは
このような症状があるようでしたら、ランナー膝 (腸脛靭帯炎)の可能性があります。
- ランニング中に膝の外側が痛い
- 運動後に膝の外側が痛い
- 繰り返しのジャンプで膝の外側が痛い
- 階段昇降時に膝の外側が痛い
- 膝の外側の2~3センチ上を押すと痛い
ランナー膝は別の呼び方として、ランナーズニー、腸脛靭帯炎とも言います。その名の通り、腸脛靭帯の炎症でランナーに多く発症する膝の外側の障害です。
バレエでも繰り返しのジャンプやプリエなどが原因で発症することがあります。
腸脛靭帯とは、お尻の筋肉(大殿筋と大腿筋膜張筋)から始まり、それらが太ももの外側で合わさり筋膜様の組織となります。
そして腸脛靭帯は、太ももの外側から下方へ伸びて、太ももの骨の外側下端(大腿骨外側上顆)を通り、スネの骨の外側上端(脛骨のガーディー結節)に付着します。
腸脛靭帯は、膝を伸ばしているときには大腿骨外側上顆の前方に位置します。そして膝を曲げていくと、屈曲30度付近で大腿骨外側上顆の骨隆起の上を通り後方に移動します。
膝関節屈伸運動を繰り返すことにより、屈曲30度付近で腸脛靭帯と大腿骨外側上顆の間で摩擦が生じ炎症が起こることがランナー膝の原因となります。
O脚、X脚はランナー膝の発症リスクになる
ランナー膝は、膝の関節屈伸運動の使い過ぎ(オーバーユース)が主な原因となりますが、ランナー膝を発症しやすい傾向にある体のタイプを紹介します。
(1) 足首の回外、O脚(内反膝)
足首の回外、O脚の状態でランニングやスポーツをしていると、小趾側に体重が乗りやすくなり、腸脛靭帯と大腿骨外側上顆の間が擦れやすくなります。
(2) 足首の過回内、X脚(外反膝)
足首の過回内、X脚の状態でランニングやスポーツをしていると、股関節が内旋(内側に捻れる)して膝が内側に入りやすくなります。このことを「ニーイントゥーアウト」と言います。
ニーイントゥーアウトの状態だと腸脛靭帯に引っ張られる力が掛かり、摩擦を生じやすくなります。
O脚、X脚をバレエ動作にあてはめると
上記の発症メカニズムを、バレエ動作に当てはめて考察をしてみます。
(1) 足首の回外、O脚(内反膝)
足首の回外、O脚(内反膝)はバレエには不向きな足の形状で、小趾側に体重が乗りやすく外ももの筋肉を使いすぎてしまい、腸脛靭帯への負担が増してしまいます。
また、見た目はO脚でなくても、足の筋力不足から小趾側に体重が乗ってしまう、いわゆるカマ足になっていると、外ももの筋肉を使いすぎてしまい腸脛靭帯への負担が増してしまいます。
(2) 足首の過回内、X脚(外反膝)
足首の過回内、X脚(外反膝)は、バレエでは膝のお皿の位置よりつま先が外を向くオーバーターンアウトしている方や股関節のアンディオール不足の方に、先ほど述べたニーイントゥーアウトが見られます。
この状態でバレエをしていると、腸脛靭帯に引っ張られる力が掛かり摩擦を生じやすくなります。
バレエは他のスポーツのように走る動作は少ないですが、プリエなどで膝を屈伸する動作やジャンプ動作が多いため、それらの使い過ぎ(オーバーユース)によりランナー膝を発症します。
大体のケースは痛みを我慢しながらレッスンをすることはできますが、ランナー膝は慢性化しやすいので初期の段階で対処しなければなりません。
バレエでのランナー膝の原因
- 過回内足(オーバープロネーション)で内側の土踏まずが潰れている。いわゆる偏平足の足をしている。
- 足関節底屈可動域が少ない。足首が硬くてつま先が伸びない、甲が出ないようなタイプの足をしている。
- 股関節外旋可動域が少ない。アンディオールの可動域が狭い。膝が外に向きづらいタイプの股関節をしている。
- オーバーターンアウトしている。膝の向きとつま先の向きが合っていない。膝の向きよりもつま先の方がターンアウトの角度が大きくなっている。
- 体幹の安定性(コアスタビリティ)の低下。体幹が弱いのでお腹の引き上げが苦手なタイプ。
- 骨盤の歪み。バレエでは骨盤が前傾し腰が反る、そしてお尻が後ろを向いてしまっているタイプが多い。
- 間違った動作。カマ足、逆カマ足に多く、ふくらはぎの筋肉を正しく使えていない。
- 足裏の筋力が弱いので、ふくらはぎの筋肉に負担が増える。
- コンクールに向けて、発表会に向けてなど、急にレッスン量が増えた。
- 最近体重が増えてしまった。
エコー検査により患部を正確に把握
当院では、施術者の手を使って行う徒手検査と、超音波画像診断装置であるエコー検査を行っております。
プロスポーツの現場では常識となっているエコー検査ですが、一般的な多くの整骨院、整体院では行われていないことが現状です。
徒手検査で見落としがちな患部の状態も、エコー検査を行うことで、骨や筋肉、靭帯の損傷を詳しく画像として視覚的に把握することができます。
ランナー膝(腸脛靭帯炎)を早く治すためには、エコー検査を用いた早期発見と、正確な損傷部位の把握は必須だと考えます。
ランナー膝の治療法
ランナー膝(腸脛靭帯炎)の治療は、痛みを早く取り除くための患部の治療と、ランナー膝を再発させないための身体づくりの両方が必要だと考えます。
患部の痛みを早く取り除くためには衝撃波(圧力波)による治療がとても有効だと考えます。詳しくは衝撃波(圧力波)治療のページをご覧ください。
そしてランナー膝を再発させないための身体づくりに対しては、バレエ整体やバレエピラティスを行っていきます。
クライアント様とカウンセリングを行いながら、以下の施術方法を組み合わせ、最善の方法を選択し、早期回復を目指します。