バレエの下肢障害 腓骨筋腱炎

投稿:2022.05.18 / 16:02 

バレエの下肢障害 腓骨筋腱炎

腓骨筋腱炎とは

このような症状があるようでしたら、腓骨筋腱炎の可能性があります。

  • ルルベやポワントなどつま先立ちで外くるぶしの後ろが痛む
  • ジャンプの着地のときに外くるぶしの後ろが痛む
  • 歩行やランニングで外くるぶしの後ろが痛む
  • 足首を捻った記憶はないけど、外くるぶしの後ろが痛む
  • 小趾側に体重をかけると外くるぶしの後ろが痛む
  • 外くるぶしの後ろから下にかけて腫れていて押すと痛む

腓骨筋腱の解剖学

腓骨筋は下腿部の外側にある筋肉で、主に長腓骨筋と短腓骨筋があります。

腓骨筋は腓骨から始まり、外くるぶしの後ろを通ってその部分で滑車のように折れ曲がり、長腓骨筋は親指の裏側、短腓骨筋小指に停止します。
腓骨筋は外くるぶしの後ろを通る辺りでは腱となって細くなり、腱鞘というトンネルの中を通ります。

腱鞘は腓骨筋腱と、周辺にある軟部組織や骨との摩擦を防ぐ役割があります。
そして外くるぶしの後方に上腓骨筋支帯、下方に下腓骨筋支帯という組織があり、バンドのような働きを担って腓骨筋腱が脱臼しないように抑えています。

腓骨筋腱炎の発症メカニズム

外くるぶしの後方から下方にかけての滑車のように折れ曲がる部分は非常に狭くなっており、足首を過度に使うと摩擦が発生しやすく炎症を起こすことがあり、これが腓骨筋腱炎の発症メカニズムとなります。

腓骨筋腱炎は足首が回外位(足首の外側に体重がかかった状態)、言い換えると親指が浮いて小趾側に体重が乗っている状態で運動をしている人は、腓骨筋が引っ張られて負担がかかるため発症しやすくなります。

バレエでは、小趾側に体重が乗りやすいカマ足傾向にある人がルルベやポワントをしていると、腓骨筋の使い過ぎ(オーバーユース)となって腓骨筋腱炎になるリスクは高まります。
また、繰り返しのジャンプの着地の衝撃で腓骨筋腱炎を引き起こすこともあります。

もし、体重をかけない状態で足首を伸ばす動作、例えばタンジュをしているときに痛むなどがある場合は重症化している可能性があります。
重症化すると長期の安静固定が必要となり、レッスンを長く休まなくてはいけなくなる可能性がありますので、初期の段階で対処した方がよいです。

バレエでの腓骨筋腱炎の原因

  1. 過回内足(オーバープロネーション)で内側の土踏まずが潰れている。いわゆる偏平足の足をしている。
  2. 足関節底屈可動域が少ない。足首が硬くてつま先が伸びない、甲が出ないようなタイプの足をしている。
  3. 股関節外旋可動域が少ない。アンディオールの可動域が狭い。膝が外に向きづらいタイプの股関節をしている。
  4. オーバーターンアウトしている。膝の向きとつま先の向きが合っていない。膝の向きよりもつま先の方がターンアウトの角度が大きくなっている。
  5. 体幹の安定性(コアスタビリティ)の低下。体幹が弱いのでお腹の引き上げが苦手なタイプ。
  6. 骨盤の歪み。バレエでは骨盤が前傾し腰が反る、そしてお尻が後ろを向いてしまっているタイプが多い。
  7. 間違った動作。カマ足、逆カマ足に多く、ふくらはぎの筋肉を正しく使えていない。
  8. 足裏の筋力が弱いので、ふくらはぎの筋肉に負担が増える。
  9. コンクールに向けて、発表会に向けてなど、急にレッスン量が増えた。
  10. 最近体重が増えてしまった。

エコー検査により患部を正確に把握

当院では、施術者の手を使って行う徒手検査と、超音波画像診断装置であるエコー検査を行っております。

プロスポーツの現場では常識となっているエコー検査ですが、一般的な多くの整骨院、整体院では行われていないことが現状です。
徒手検査で見落としがちな患部の状態も、エコー検査を行うことで、骨や筋肉、靭帯の損傷を詳しく画像として視覚的に把握することができます。

腓骨筋腱炎を早く治すためには、エコー検査を用いた早期発見と、正確な損傷部位の把握は必須だと考えます。

腓骨筋腱炎の治療法

腓骨筋腱炎の治療は、痛みを早く取り除くための患部の治療と、それらを再発させないための身体づくりの両方が必要だと考えます。

腓骨筋腱炎の患部は、衝撃波(圧力波)による治療がとても効果的です。詳しくは衝撃波(圧力波)治療のページをご覧ください。

そして腓骨筋腱炎を再発させないための身体づくりに対しては、バレエ整体やバレエピラティスを行っていきます。
クライアント様とカウンセリングを行いながら、以下の施術方法を組み合わせ最善の方法を選択し、早期回復を目指します。

治療法

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